「先月より3,000円も高い。でも、そんなに使った覚えがない」。明細を見ても、どの数字がなぜ増えたのか分からない。そういう状態だと、節電しても手応えがなく、電力会社を変えるべきかも判断できません。
この記事では、電気料金の明細を 4つの部品 に分けて読み、「自分の家は何が高いのか」を見つけるところまでを説明します。10分あれば、手元の明細でできます。
明細の金額は、何でできているのですか?
電気代の合計は、ほとんどの家庭で次の4つの足し算です。明細(電気ご使用量のお知らせ、またはWeb明細)に、この4つが行として並んでいます。
| 部品 | 何で決まるか | 自分で減らせるか |
|---|---|---|
| ① 基本料金(または最低料金) | 契約の大きさ(アンペア数など)。使っても使わなくても同じ | 契約を小さくすれば減る |
| ② 電力量料金 | 使った量(kWh)× 単価。多くのプランで使うほど単価が上がる3段階 | 使う量を減らせば減る |
| ③ 燃料費調整額 | 使った量(kWh)× その月の調整単価。燃料の輸入価格で毎月変わる。マイナスの月もある | 自分では動かせない(量を減らすと連動して減る) |
| ④ 再生可能エネルギー発電促進賦課金 | 使った量(kWh)× 全国一律の単価。年度ごとに国が決める | 自分では動かせない(量を減らすと連動して減る) |
ポイントは、②③④はすべて「使った量(kWh)」に掛け算でついてくる ことです。つまり、使う量を1kWh減らすと、②の単価だけでなく③と④の分も一緒に減ります。「1kWhあたりの本当の単価」は、②の単価に③と④を足した数字です。
明細に「kWh」の数字が2つあるときは、「ご使用量」が今月の量、「前年同月」が去年の同じ月の量です。まずこの2つを見比べてください。量が同じなのに金額が上がっていれば、原因は③か④の単価です。
再エネ賦課金は、今いくらですか?
④の単価は全国一律で、毎年3月ごろに経済産業省が翌年度分を決めます。
たとえば月に400kWh使う家なら、400 × 4.18 = 1,672円 が再エネ賦課金です。使う量に比例するので、量が多い家ほど負担が大きくなります。この単価は電力会社を変えても同じです。
燃料費調整額とは何ですか?なぜ毎月変わるのですか?
③は、発電に使う燃料(液化天然ガス、石炭、原油)の輸入価格が上下した分を、数か月遅れて電気代に反映する仕組みです。単価は電力会社・プランごとに毎月発表され、プラスの月もマイナスの月もあります。
注意したいのは2点です。
- 国の補助が入る月は、この行で引かれます。 2026年は、国の「電気・ガス料金支援」として、8月分と10月分の低圧の電気に1kWhあたり3.50円を差し引く措置が電力各社から案内されています(東京電力エナジーパートナーの発表で確認)。補助がある月と無い月で、同じ使用量でも金額が変わります。
- 規制料金(従量電灯など)には調整額の上限がありますが、自由料金のプランには上限が無いものが多いです。燃料が高くなった年に、新電力の自由料金のほうが高くなったのはこの差が原因でした。
明細の「燃料費調整単価」の欄を、ここ数か月分並べて見てください。プラスが続いているなら、電気代が上がった原因の一部はここです。
結局、うちは何が高いのですか?
明細を手元に置いて、次の順番で見ていきます。
1. 今月と前年同月の「使用量(kWh)」を比べる
量が増えていれば、使い方の変化(家族が増えた、在宅が増えた、暖房を電気にした、古い家電の故障前)が原因の候補です。
2. 量が同じなら、「燃料費調整単価」と「再エネ賦課金単価」を去年と比べる
ここが上がっていれば、原因は単価です。自分では止められないので、量を減らすか、単価の違うプランを比べます。
3. 基本料金の欄を見て、契約アンペア(または契約容量)を確認する
使っていない時間帯も含めて毎月かかる固定費です。ブレーカーが落ちない範囲で小さくすれば、確実に減ります。
4. 電力量料金の「3段目」の量を見る
3段階料金のプランでは、300kWhを超えた分(会社による)が一番高い単価です。3段目の量が多い月は、その分だけ減らす価値が大きい月です。
この4つを見れば、「使いすぎ」なのか「単価が上がった」のか「契約が大きすぎる」のかが切り分けられます。切り分けができてから、節電するのか、プランを変えるのか、設備を入れるのかを考えます。順番が逆だと、お金をかけたのに電気代が下がらない、ということが起きます。
事業所(店・事務所・工場)の明細は、どこが違いますか?
小さな店や事務所の多くは家庭と同じ「低圧」の契約ですが、動力(三相200V)を使う工場や、受電設備(キュービクル)がある事業所は「高圧」の契約です。高圧の明細には、家庭にはない次の欄があります。
| 欄 | 意味 |
|---|---|
| 契約電力(kW) | 基本料金を決める大きさ。過去1年の「30分ごとの最大値(デマンド)」で自動的に決まる |
| 最大需要電力(kW) | 今月の30分ごとの使用電力の最大値 |
| 力率(%) | 電気を無駄なく使えている割合。85%を基準に基本料金が割引・割増になる |
事業所の電気代は「どれだけ使ったか」より「一番使った30分がどれだけか」で基本料金が決まります。この仕組みは 小さな事業所の電気代を下げる順番 でくわしく書きました。
まとめ:まず何をするか
- 明細の 使用量(kWh)を前年同月と比べる。量が同じなら単価、増えていれば使い方が原因
- 再エネ賦課金は2026年度 4.18円/kWh。全国一律で、電力会社を変えても同じ
- 燃料費調整額は毎月動く。国の補助が入る月はここで引かれる
- 基本料金(契約の大きさ)は、使わなくてもかかる固定費。見直す価値がある
- 切り分けができてから、プランの変更や設備を考える
次は、12か月分の明細を1枚の表にする方法です。1年分並べると、季節の山と単価の変化がはっきり分かれます。
次に読む
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金 2026年度単価 4.18円/kWh(2026年5月分〜2027年4月分)、2025年度 3.98円/kWh:経済産業省 2026年3月告示。東京電力エナジーパートナー「再生可能エネルギー発電促進賦課金」、関西電力 2026年3月23日お知らせで確認
- 燃料費調整制度の仕組み:資源エネルギー庁「燃料費調整制度について」
- 2026年8月分・10月分の電気料金支援(低圧 3.50円/kWh差引):東京電力エナジーパートナー 2026年7月30日発表。適用の有無・月は契約先の電力会社の案内で確認してください
- 高圧の契約電力・力率の仕組み:J-Net21(中小企業基盤整備機構)省エネQ&A
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