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蓄電池は要るのか|向く家・向かない家と、後付けを判断する3つの質問

「太陽光を付けるなら蓄電池もセットで」と勧められた。あるいは、売電の10年が終わる通知が来て「蓄電池を入れませんか」という電話が増えた。でも100万円を超える買い物を、勧められるままに決めてよいのか。

蓄電池は、向く家にはしっかり効き、向かない家では何年たっても元が取れない 設備です。この記事では、向き不向きの見分け方と、入れるかどうかを決める3つの質問を書きます。

蓄電池は、何をしてくれる機械ですか?

することは2つだけです。

  1. 昼間の余った太陽光の電気をためて、夜に使う(自家消費を増やす)
  2. 停電のときに、ためた電気を使う(非常用電源)

1の効果は、「売るはずだった電気を、買わずに済ませる」ことです。得になる金額は、1kWhあたり 買う単価 − 売る単価 です。

  • 売電期間中(1〜4年目、売る単価24円):買う単価が33円なら、差は 約9円/kWh。効果は小さい
  • 5〜10年目(売る単価8.3円):差は 約25円/kWh
  • 売電期間が終わった後(卒FIT。買い取り単価は電力会社によるが1桁円台が多い):差は 約25円以上/kWh

つまり、売る単価が低い時期ほど蓄電池の効果が大きく、売電単価が高い最初の4年間はあまり効きません。「太陽光と同時に買う」より「売電単価が下がる5年目、または卒FITのタイミングで後付けする」ほうが計算が合いやすいのはこのためです。

向く家・向かない家は、どう分かれますか?

向く家向かない・慎重に考える家
売電期間(10年)が終わった、または終わりが近い太陽光を付けたばかりで、売電単価が高い期間
平日の昼間に人がおらず、余剰(売電量)が多い昼間に在宅していて、もともと自家消費率が高い(ためる電気が余らない)
夜の使用量が多い(夕方〜夜に家族が集まる、夜間の給湯・暖房)全体の使用量が少ない(月200kWh以下)
停電時に動かしたい機器がある(医療機器、冷蔵庫、井戸ポンプ、在宅勤務)停電対策は別の手段(発電機、ポータブル電源)で足りる
国・自治体の補助金が使える年度・地域補助金が無く、全額自己負担になる
事業所で、昼間の余剰が多く夜間や早朝にも電気を使う夜間操業で、昼間の余剰がそもそも無い

岡山など地方の戸建てでは、「日中は仕事で不在、夕方以降に使う」という家が多く、売電が終わった家にとっては条件が合いやすい部類です。ただし、使用量が少ない2人暮らしなどでは、ためる電気も使う電気も少なく、回収に長くかかります。

入れるかどうか、どう決めればよいですか?

次の3つの質問に、自分の数字で答えます。

  1. 1. 1年に何kWh売っていますか?(売電量)

    売電の明細か、電力会社のマイページで年間の売電量が分かります。これが「ためられる電気の上限」です。年間1,500kWh以下なら、蓄電池でためて使える量も少なく、効果は限定的です。

    2. 夜に何kWh使っていますか?(夜間の使用量)

    スマートメーターの30分データ(電力会社のマイページで見られる)で、日没後〜朝の使用量を確認します。ためた電気の「使い先」がどれだけあるかです。

    3. 「売電量」と「夜間の使用量」の小さいほう × 365日 × (買う単価 − 売る単価)は、いくらですか?

    これが蓄電池で1年に得られる金額の上限です。見積の金額(補助金を引いた後)をこれで割ると、回収年数の目安が出ます。

計算例(説明のための仮の数字)

  • 年間売電量 2,500kWh、夜間の使用量 年2,000kWh → 小さいほうは 2,000kWh
  • 買う単価 33円、卒FIT後の売る単価 8円 → 差 25円
  • 1年の得の上限:2,000 × 25円 = 50,000円
  • 蓄電池の実質費用が 120万円なら、回収は 24年。補助金で 80万円になっても 16年

蓄電池の保証期間は10〜15年が一般的です。この例では、保証期間内に元が取れません。「停電対策としての価値」を足して納得できるかどうか、という判断になります。逆に、夜間の使用量が多く、補助金が大きい年度に当たれば、10年前後に縮まる家もあります。数字を入れないと分からない、というのが正直なところです。

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蓄電池の見積は、容量(kWh)あたりの単価で比べます。総額 ÷ 容量(kWh)を出してください。同じ容量でも、全負荷型(停電時に家全体に給電)か特定負荷型(決めた回路だけ)か、ハイブリッド型(太陽光のパワコンと一体)か単機能型かで価格が変わるので、見積書に型式が書いてあるかを確認します。

補助金は、ありますか?

あります。ただし年度と地域で大きく変わり、予算に達すると年度の途中で受付が終わる のが常です。

  • 国:経済産業省の「家庭用蓄電システム導入支援事業」(いわゆるDR補助金。執行はSII・環境共創イニシアチブ)。令和7年度補正では、補助単価 1kWhあたり3.45万円、上限60万円(1申請あたり)と案内されていました。2026年3月に公募が始まり、5月末に予算到達で終了したと複数の案内で確認しています。次の公募の有無は、SIIのサイトで確認してください。
  • 自治体:岡山市は令和8年度「住宅用スマートエネルギー導入促進補助事業」で、太陽光・蓄電池・V2Hなどを対象にしています(「あっ晴れ岡山エコクラブ」への入会が条件)。他の市町にも制度があります。

補助金は「契約前に申請」「着工前に交付決定」が条件のものが多く、順番を間違えると受けられません。探し方と注意点は 補助金の探し方 にまとめました。

まとめ:まず何をするか

  • 蓄電池の得は 「買う単価 − 売る単価」× ためて使えた量。売る単価が低い時期ほど効く
  • 卒FIT後・5年目以降・昼間不在で余剰が多い・夜の使用量が多い・停電対策が要る 家に向く
  • 太陽光を付けたばかりの家、使用量の少ない家は、慎重に
  • 3つの質問(年間売電量、夜間使用量、差額×量)で、自分の家の上限額を出してから見積を見る
  • 補助金は年度途中で終わる。契約前に申請の順番を確認する

年間売電量と夜間の使用量を手元に用意して、容量(kWh)あたりの単価で複数社を比べてください。


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出典・確認日(2026年10月18日確認)
#蓄電池#卒FIT#自家消費#停電対策

この記事について

書いているのは でんき見直しノート編集部 です。製造・製材の現場で事業所の電気代を見てきた経験をもとに、家庭と小さな事業所の電気代について書いています。 単価・補助金・制度の数字には出典と確認日を付けていますが、その後に変わっている場合があります。契約や設備の判断は、最新の公式情報と専門業者の見積で確認してください。

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