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小さな事業所の電気代を下げる順番|契約電力・デマンド・力率・エアコン・照明

「節電しているつもりなのに、電気代が下がらない」「LEDに替えたのに、基本料金が変わらない」。小さな工場や倉庫の経営者・工場長から、よく聞く話です。

事業所の電気代が下がらない一番の理由は、家庭と仕組みが違うのに、家庭と同じ節電をしている ことです。この記事では、製造の現場で事業所の電気代を実際に見てきた経験をもとに、お金のかからない順 に5段階で下げる手順を書きます。設備投資は最後です。

事業所の電気代は、何で決まるのですか?

受電設備(キュービクル)がある高圧の事業所の場合、明細は次の形です。

電気代 = 基本料金 + 電力量料金 + 燃料費調整額 + 再エネ賦課金

形は家庭と同じですが、基本料金の決まり方 がまったく違います。

項目家庭(低圧)事業所(高圧・契約電力500kW未満)
基本料金の大きさ契約アンペアで自分が選ぶ過去12か月の「最大デマンド」で自動的に決まる(実量制)
デマンドとは―30分ごとの平均使用電力(kW)。1か月で一番大きい30分が「その月の最大需要電力」
力率―85%を基準に、1%上がるごとに基本料金が1%割引、下がると1%割増

つまり、1年のうち、たった30分でも大きな電力を使うと、その値が次の12か月の基本料金の土台になります。 真夏の午後、エアコンと機械と乾燥機を同時に動かした30分が、翌年の夏まで基本料金に残る、ということが実際に起きます。

「使った量(kWh)」を減らしても、この30分の山が変わらなければ、基本料金は1円も下がりません。LEDに替えても基本料金が変わらないのは、このためです。

第1段階:契約電力は、今の使い方に合っていますか?(費用0円)

電力会社のマイページか、電気主任技術者(キュービクルの点検をしている人)に頼んで、過去12か月の月別「最大需要電力(kW)」 を出してもらいます。

  • 12か月のうち、1〜2か月だけ突出して高い月 があれば、その月の原因を探します。臨時の設備、故障前の機械の過負荷、休み明けの一斉起動など、一度きりの原因なら、次の1年でその山を作らなければ契約電力は下がります
  • 最大需要電力が毎月ほぼ同じで、しかも契約電力より明らかに低い場合、契約の種類(契約電力の決め方)を電力会社に確認します

この段階は、データを見るだけでお金はかかりません。

第2段階:デマンドの山を、どう崩しますか?(費用0〜数十万円)

山を崩すというのは、同じ仕事を、同時にやらずにずらす ことです。

  1. 1. 30分データを見て、山ができる「曜日・時間帯・条件」を見つける

    電力会社のマイページで30分ごとの使用電力が見られます。1か月分をExcelに落として、上位10個の30分を抜き出します。

    2. その30分に何が動いていたかを現場で確認する

    たいてい「エアコンの立ち上げ」「大型機械の起動」「電気炉・乾燥機・コンプレッサー」の重なりです。

    3. 起動の順番と時刻を決める

    朝一番にエアコンと機械を同時に入れない。コンプレッサーは先に、エアコンは15分後に、というように、起動をずらすルールを紙に書いて貼る。

    4. 昼休み・休憩の前後の立ち上げ方を決める

    休憩後に全員が一斉に機械を入れる現場では、ここに山ができます。

    5. 必要なら、デマンド監視装置(目標値を超えそうになると警報を出す装置)を入れる

    本体は数万〜数十万円。警報だけの簡易型から、エアコンを自動で間引く制御型まであります。まずは人の運用で山を崩してから、装置を考えます。

30分の「平均」なので、一瞬の起動電流は大きく響きません。効くのは「30分間ずっと高い状態」を避けることです。

第3段階:力率は、85%を超えていますか?(費用0〜数十万円)

力率とは、送られてきた電気のうち実際に仕事に使えている割合です。モーターの多い工場では低くなりがちです。

  • 明細に「力率」の欄があります。85%を基準に、1%ごとに基本料金が1%増減 します。力率100%なら基本料金は15%引きです
  • 力率を上げるには、進相コンデンサ(力率を改善する装置)を適切な容量で入れます。キュービクルにすでに付いていることが多いので、電気主任技術者に「コンデンサは効いているか、容量は合っているか」を聞いてください。古いコンデンサは容量が抜けていることがあります
  • 力率が低いまま放置されている事業所は珍しくありません。基本料金が月10万円なら、力率が80%から95%に上がれば月1.5万円、年18万円の差です

第4段階:エアコンの使い方と設備は、見直しましたか?

事業所の使用量で大きいのはエアコンです。順番は、設定と運用 → フィルターと室外機 → 買い替え です。

  • 環境省は室温の目安として夏28℃・冬20℃を示しています(設定温度ではなく室温)。設定温度を1℃緩めると、消費電力量は冷房で約13%、暖房で約10%減るとされています
  • フィルターの清掃、室外機の前の荷物や雑草の撤去、日よけ。これだけで効率が戻る室外機が、倉庫の裏にはよくあります
  • 10年以上前の業務用エアコンは、買い替えで消費電力が下がる可能性がありますが、機種と使い方で差が大きいので、メーカーの年間消費電力量(カタログ値)で比べてください。買い替えは、第1〜3段階をやってから、デマンドの山にも効く形で計画します

設定と買い替えの目安は エアコンの電気代を減らす設定と買い替えの目安 にまとめました。

第5段階:照明は、いつLEDにしますか?

  • 蛍光灯は、水俣条約の決定により 2027年末までに製造・輸出入が段階的に終わります(コンパクト形は2026年末、直管・環形は2027年末。ハロリン酸塩系の直管は2026年末)。使い続けることは禁止されませんが、交換球が手に入りにくくなります
  • LEDは同じ明るさで消費電力が蛍光灯の半分以下になる製品が多く、寿命も長いため、点灯時間の長い工場・倉庫・店舗では、使用量(kWh)の削減効果が出ます
  • 既存の器具に「LEDランプだけ」を付け替える方法は、器具の種類によっては発煙・発火の恐れがあると自治体が注意喚起しています。器具ごと交換するか、電気工事店に確認 してください

照明は使用量(電力量料金)に効きますが、基本料金(デマンド)にはほとんど効きません。順番が最後なのは、効果が小さいからではなく、先に基本料金を下げたほうが同じ金額で効果が大きい からです。

まとめ:まず何をするか

  • 事業所の基本料金は 過去12か月の最大デマンド(30分平均の最大値) で決まる。使用量を減らしても山が残れば下がらない
  • 順番は、①契約電力の確認 → ②デマンドの山を崩す → ③力率 → ④エアコン → ⑤照明。①〜③はほぼ費用ゼロ
  • 30分データを1か月分見て、上位10個の30分に何が動いていたかを現場で確認する。ここから始める
  • 設備投資(デマンド監視装置、エアコン、LED)は、山の原因が分かってから

30分データの見方や契約の見直しを自社でやる時間が無い場合は、法人向けの電気代診断・デマンド監視の資料を取り寄せて、どこまで無料でやってくれるかを比べてください。


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出典・確認日(2026年10月18日確認)
#事業所の電気代#デマンド#契約電力#力率#工場

この記事について

書いているのは でんき見直しノート編集部 です。製造・製材の現場で事業所の電気代を見てきた経験をもとに、家庭と小さな事業所の電気代について書いています。 単価・補助金・制度の数字には出典と確認日を付けていますが、その後に変わっている場合があります。契約や設備の判断は、最新の公式情報と専門業者の見積で確認してください。

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