1. ホーム
  2. 記事一覧
  3. 太陽光・蓄電池
  4. 太陽光発電は元が取れるのか|自宅の数字で計算する式と前提

太陽光発電は元が取れるのか|自宅の数字で計算する式と前提

「太陽光は元が取れる」と言う人と「取れない」と言う人がいて、どちらを信じればよいか分からない。訪問販売の人は「10年で元が取れます」と言うけれど、根拠が分からない。

結論から言うと、元が取れるかどうかは家ごとに答えが違い、誰かの断定を信じる必要はありません。 計算の式は1つで、入れる数字が4つあるだけです。この記事では式と前提を示すので、自宅の数字を入れて判断してください。

「元が取れる」とは、何と何を比べることですか?

元が取れる年数(回収年数)は、次の割り算です。

回収年数 = 設置費用(補助金を引いた後) ÷ 1年あたりの得

分母の「1年あたりの得」は、2つの足し算です。

  • 自家消費の得:昼間に発電した電気を自分で使い、電力会社から買わずに済んだ分。「使った量 × 買う単価」
  • 売電の得:使い切れず余った電気を電力会社に売った分。「売った量 × 売る単価」

ここで大事なのは、買う単価と売る単価は大きく違う ことです。

24円/kWh売る単価(1〜4年目)住宅用10kW未満・新規認定の区分
8.3円/kWh売る単価(5〜10年目)同上
30円台/kWh買う単価の目安電力量料金+燃料費調整+再エネ賦課金。明細で確認

2025年度下期から、住宅用(10kW未満)の売電単価は「最初の4年は高め、5年目以降は低め」の2段階になりました。5年目以降の8.3円は、買う単価の3分の1以下です。つまり 売るより、自分で使うほうが3倍以上得 という構図です。昼間に家にいて電気を使う家ほど有利になります。

自宅の数字は、どこから持ってきますか?

4つの前提と、入手先です。

前提入手先注意
① 年間発電量(kWh)見積書の「年間予想発電量」。屋根の向き・角度・地域の日射量から業者が計算複数社の見積で数字が大きく違えば、どちらかが甘い。南向き以外は下がる
② 自家消費率(%)昼間の在宅状況から推定。日中に人がいない家は20〜30%台、在宅・オール電化・蓄電池ありで高くなる業者の試算は高めに置かれがち。自分の生活で考える
③ 買う単価(円/kWh)自分の明細。電力量料金+燃料費調整額+再エネ賦課金を使用量で割る3段階料金なら、太陽光で減るのは一番高い段から
④ 売る単価(円/kWh)資源エネルギー庁の「買取価格・期間等」ページ。認定を受ける年度の単価が10年間固定年度で変わる。契約の年度の数字を使う

分子の設置費用は、見積書の総額から補助金を引いた金額です。調達価格等算定委員会(経済産業省)の資料では、住宅用の平均的なシステム費用として 新築 約28.9万円/kW、既築 約30.1万円/kW が示されています(委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」の掲載値。確認日2026年10月18日)。5kWなら150万円前後が目安で、これより大きく高い見積は理由を聞く必要があります。

実際に計算すると、どうなりますか?(仮の数字での例)

以下は 説明のための仮の数字 です。自宅の数字に置き換えてください。

前提(仮)

  • 設置:5kW、費用 150万円、補助金 10万円 → 実質 140万円
  • ① 年間発電量:5,500kWh(1kWあたり1,100kWhと置いた場合)
  • ② 自家消費率:30%(日中は不在がち)
  • ③ 買う単価:33円/kWh(仮)
  • ④ 売る単価:1〜4年目 24円、5〜10年目 8.3円、11年目以降 8円(仮)

1年あたりの得

期間自家消費の得売電の得合計
1〜4年目5,500×30%×33円 = 54,450円5,500×70%×24円 = 92,400円約146,900円
5〜10年目54,450円5,500×70%×8.3円 = 31,955円約86,400円
11年目以降54,450円5,500×70%×8円 = 30,800円約85,300円

4年間で約58.8万円、5〜10年目の6年間で約51.8万円、合計10年で 約110.6万円。実質費用140万円に届かず、11年目以降は年8.5万円ずつなので、回収は 約13〜14年目 になります。

同じ家で、昼間に在宅して自家消費率を50%にすると、1〜4年目は約15.4万円、5〜10年目は約11.4万円で、10年で約130万円。回収は 約11年目 に縮みます。自家消費率が回収年数を一番動かす のが分かります。

!

この計算には、パワーコンディショナー(直流を交流に変える装置。10〜15年で交換になることが多い)の交換費用、パネルの経年劣化による発電量の低下、将来の買う単価の変動を入れていません。業者の試算にこれらが入っているかを必ず確認してください。「必ず○年で元が取れる」という説明は、前提を1つ変えれば崩れます。

向く家・向かない家は、どう見分けますか?

計算の前に、次の表で大まかな向き不向きが分かります。

向く家向かない・慎重に考える家
屋根が南向き〜東西向きで、影がない北向き、周りの建物や山で午前・午後に影ができる
昼間に人がいる(在宅勤務、高齢の家族、自営業)平日の昼間は誰もいない(自家消費率が低くなる)
使用量が多い(月400kWh以上、オール電化)使用量が少ない(減らす分が少ない)
屋根が比較的新しい(10年以内に葺き替えの予定がない)屋根が古く、設置後に葺き替えが必要になりそう
住み続ける予定(15年以上)数年で転居・売却の可能性がある
事業所で昼間の電気使用が多い(工場・店舗・事務所)夜間操業が中心の事業所

岡山のような日照時間の長い地域は、同じ設備でも発電量が多めになり、条件は良い部類です。ただし地域が良くても、屋根の向きと昼間の在宅で結果は大きく変わります。

まとめ:まず何をするか

  • 式は 設置費用 ÷ 1年あたりの得。得は「自家消費 × 買う単価」+「売電 × 売る単価」
  • 売る単価は5年目以降 8.3円/kWh。買う単価の3分の1以下なので、自分で使う家ほど有利
  • 自宅の4つの数字(発電量・自家消費率・買う単価・売る単価)を見積と明細から拾う
  • 平均的な費用は約29〜30万円/kW(委員会資料)。大きく外れた見積は理由を聞く
  • パワコン交換・劣化・単価の変動を入れていない試算は、楽観的すぎると考える

見積を取るときは、1社だけでなく3社以上に同じ条件で依頼し、年間発電量と費用の差を見てください。比べ方と、避けたい業者のサインは次の記事に書きました。

同じ屋根・同じ容量で複数社の見積を並べると、年間発電量と費用のばらつきが見えます。1社の試算だけで決めないでください。


</div>

次に読む


出典・確認日(2026年10月18日確認)
  • 住宅用太陽光(10kW未満)の調達価格 1〜4年目 24円/kWh、5〜10年目 8.3円/kWh(2025年度10月以降の新規認定から適用された「初期投資支援スキーム」の区分):資源エネルギー庁「買取価格・期間等」、経済産業省 2025年3月21日報道発表。契約する年度の単価は同ページで必ず確認してください
  • 住宅用システム費用の平均値(新築 28.9万円/kW、既築 30.1万円/kW):調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(経済産業省 調達価格等算定委員会)に掲載の値。原典の表で再確認を推奨
  • 再エネ賦課金 2026年度 4.18円/kWh:東京電力エナジーパートナーで確認
  • 計算例の「買う単価 33円」「1kWあたり年1,100kWh」「11年目以降 8円」は説明のための仮の数字です。自宅の明細と見積の数字に置き換えてください
#太陽光発電#売電単価#自家消費#費用の考え方

この記事について

書いているのは でんき見直しノート編集部 です。製造・製材の現場で事業所の電気代を見てきた経験をもとに、家庭と小さな事業所の電気代について書いています。 単価・補助金・制度の数字には出典と確認日を付けていますが、その後に変わっている場合があります。契約や設備の判断は、最新の公式情報と専門業者の見積で確認してください。

次に読む

記事一覧へ戻る