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エアコンの電気代を減らす設定と、買い替えの目安|公的な試算値だけで考える

「エアコンをつけっぱなしにしたほうが安いと聞いた」「10年たったら買い替えたほうが得と言われた」。どれも一部は正しく、一部は条件次第です。

この記事では、メーカーの宣伝文句ではなく、資源エネルギー庁と環境省が公表している試算値 だけを使って、エアコンの電気代を減らす順番を書きます。順番は、お金のかからない「設定と使い方」が先、「買い替え」は後です。

設定温度は、何℃にすればよいですか?

環境省が示しているのは「室温」の目安で、夏28℃・冬20℃ です。これは「エアコンの設定温度」ではなく「部屋の温度」の目安なので、日当たりや部屋の広さによって設定温度は変わります。温度計を部屋に置いて、室温で判断してください。

設定温度を1℃緩める(夏は上げる、冬は下げる)ことの効果は、次のように公表されています。

約13%冷房の設定を1℃上げたときの消費電力量の削減環境省
約10%暖房の設定を1℃下げたときの消費電力量の削減環境省
約940円/年冷房27℃→28℃(2.2kW機、1日9時間、外気31℃)資源エネルギー庁 省エネポータル
約1,430円/年暖房21℃→20℃(2.2kW機、1日9時間、外気6℃)資源エネルギー庁 省エネポータル

金額の試算は小さく見えますが、これは 6畳用(2.2kW)1台、1日9時間 の条件です。リビング用の大型機、複数台、1日中つけている家や店舗・事務所では、台数と時間に比例して大きくなります。「1℃」はお金がかからない対策なので、最初にやる価値があります。

つけっぱなしと、こまめに消すのは、どちらが安いですか?

条件によります。エアコンは、部屋の温度を設定温度まで持っていく「立ち上げ」のときに一番電気を使い、安定してからは少ない電力で維持します。

  • 短時間(30分〜1時間程度)の外出なら、つけたままのほうが立ち上げの電力を使わずに済むことが多い
  • 数時間以上の外出なら、消したほうが安い
  • 外気温と設定温度の差が大きい日(真夏の昼、真冬の朝)ほど、立ち上げの電力が大きい

「何分までならつけっぱなし」という一律の答えはなく、家の断熱、外気温、機種で変わります。迷う場合は、スマートメーターの30分データ(電力会社のマイページで見られる)で、自宅で実際に比べるのが確実です。

掃除や置き方で、どれだけ変わりますか?

資源エネルギー庁の省エネポータルサイトに、試算値が出ています。

対策試算の条件年間の削減の目安
フィルターを月に1〜2回清掃する2.2kW機、フィルターが目詰まりしたものと比べて約990円(冷房+暖房)
冷房の設定温度を1℃上げる2.2kW機、1日9時間、外気31℃、27℃→28℃約940円
暖房の設定温度を1℃下げる2.2kW機、1日9時間、外気6℃、21℃→20℃約1,430円

このほか、同サイトでは 室外機の吹き出し口の前に物を置かない、室外機に日よけをする(吹き出し口をふさがない) ことが挙げられています。倉庫や店舗の裏に置かれた室外機は、荷物や雑草で吹き出し口がふさがれていることがよくあります。これは費用ゼロで直せます。

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カーテンやブラインドで窓からの日差しと冷気を遮ることも、同サイトで省エネ行動として挙げられています。エアコンの仕事を減らす対策は、エアコンの設定より先に効きます。冬の窓まわりの対策は 冬の電気代が跳ね上がる理由と対策 に書きました。

買い替えると、どれだけ安くなりますか?

ここは 宣伝と実態の差が大きい ところです。

  • 同じメーカーの同クラスで、10年前の上位機種と最新の上位機種を比べた例では、年間消費電力量の差が 数% にとどまるケースがあります。10年前の時点ですでに省エネ性能が高かった機種では、買い替えの効果は小さいということです
  • 一方、15年以上前の機種や、省エネ性能の低い普及機からの買い替えでは、差が大きくなります
  • 自治体の資料には「10年前と比べて約12%削減」といった平均的な数字が載っていますが、機種の組み合わせで大きく変わるので、自分の機種の型番で確認 するのが確実です

確認方法は、次の2つです。

  1. 1. 今のエアコンの「年間消費電力量(kWh)」を調べる

    室内機の側面か取扱説明書に、型番と年間消費電力量(または期間消費電力量)が書いてあります。

    2. 候補の機種の「年間消費電力量」を、店頭の統一省エネラベルかメーカーのカタログで見る

    同じ畳数(能力kW)の機種で比べます。差(kWh)× 自分の買う単価(円/kWh)が、1年で減る電気代の目安です。

    3. 差額を本体+工事費で割る

    たとえば年間で200kWh減り、買う単価が33円なら年6,600円。本体+工事費が15万円なら、電気代だけで回収するには20年以上かかります。

この計算をすると、「省エネのために買い替える」のは、故障していない限り割に合わないことが多い のが分かります。買い替えの判断は、「電気代」ではなく 「故障のリスク(夏や冬の真ん中で止まる)」「修理部品の保有期限(製造終了後おおむね10年)」「快適さ」 で行うのが現実的です。そのうえで、買い替えるなら省エネ性能の高い機種を選ぶ、という順番です。

環境省の「しんきゅうさん」(省エネ製品買換ナビゲーション)というサイトでは、今の機種と候補の機種を入れて電気代の差を比べられます。

事業所の業務用エアコンは、どう考えますか?

  • 店舗・事務所・工場の業務用エアコンは、台数が多く、点灯時間が長いので、設定温度1℃とフィルター清掃の効果が家庭より大きく なります。清掃の担当と頻度を決めて、紙に書いて貼ってください
  • 高圧契約の事業所では、エアコンの 一斉起動がデマンド(30分ごとの最大値)の山 を作ります。朝の立ち上げを時間差にする、休憩後の再起動をずらす、というだけで基本料金に効きます。くわしくは 小さな事業所の電気代を下げる順番 へ
  • 買い替えるときは、デマンド制御(上限を決めて自動で出力を抑える機能)に対応した機種・システムを選ぶと、基本料金の対策にもなります

まとめ:まず何をするか

  • 室温の目安は 夏28℃・冬20℃(環境省)。温度計を置いて室温で判断する
  • 設定を1℃緩めると、冷房約13%・暖房約10% 減る。費用ゼロ
  • フィルター月1〜2回の清掃、室外機の前を空ける も費用ゼロ
  • 買い替えは「年間消費電力量」の差 × 買う単価で計算してから。省エネだけを理由にした買い替えは、割に合わないことが多い
  • 買い替えるなら、故障リスクと部品保有期限で判断し、省エネ性能の高い機種を選ぶ

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出典・確認日(2026年10月18日確認)
  • 室温の目安(夏28℃・冬20℃。設定温度ではない)、設定温度1℃緩和で冷房約13%・暖房約10%の削減:環境省「デコ活」
  • 冷房27℃→28℃で年間約940円、暖房21℃→20℃で年間約1,430円、フィルター月1〜2回清掃で年間約990円、室外機まわり・カーテンの省エネ行動(いずれも2.2kW機・1日9時間などの条件つき試算):資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」
  • 買い替えによる削減率の自治体資料の例(10年前比 約12%):福島県 省エネ資料。機種の組み合わせで大きく変わります
  • 省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」:環境省
  • 計算例の「買う単価 33円」「本体+工事費 15万円」は説明のための仮の数字です
#エアコン#省エネ#設定温度#買い替え

この記事について

書いているのは でんき見直しノート編集部 です。製造・製材の現場で事業所の電気代を見てきた経験をもとに、家庭と小さな事業所の電気代について書いています。 単価・補助金・制度の数字には出典と確認日を付けていますが、その後に変わっている場合があります。契約や設備の判断は、最新の公式情報と専門業者の見積で確認してください。

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